Youtubeで総合格闘家の矢地祐介選手のチャンネルや、ゼロレンジコンバットを使うアクション俳優の坂口拓さんのチャンネルに、ジークンドーのインストラクターの石井東吾さんが出演されていたり、
「SP」という映画で、岡田准一さんがジークンドーのインストラクターの資格を持っているということがあったりで、最近、ジークンドーがなにかと話題になっているのではないでしょうか。
今回は、ジークンドーの基本的なことと、その魅力を紹介します。
ジークンドー(截拳道)とは
ジークンドーとは、ブルースリーによって創設された武道・哲学です。
ジークンドーは漢字で書くと、「截拳道」と表記し、截(たちきる・jeet)拳(こぶし・kune)道(みち・do)。つまり、「相手の拳を截(裁)ち切る道」という意味です。
また、基本的な六つの戦術が存在し、他の格闘技をしている人も応用の効くもの担っていると思います。
ジークンドーの特徴的な構えと基本的な技
右リードの独特な構え
ボクシング、空手、キックボクシングなどの、一般的な打撃系の格闘技のオーソドックススタイルは、利き手を後ろになるように半身に構えるのが基本的な構え方です。
右利きの人は、右腕右足が後ろ、左腕左足が前になるように半身に構えます。
しかし、ジークンドーでは、基本的に、右利きの場合、右腕右足を前に、左腕左足を後ろになるように半身に構えます。
つまり、一般的な打撃系の格闘技のオーソドックススタイルとは逆に構えます。
右リードに構えるメリット
この「利き手を前に構える」というジークンドーの構えには大きなメリットがあります。
相手から、近い方の腕を利き手にすることによって、より正確に、強く、早く、相手に縦拳で拳を当てることができます。
パンチに限らず、フィンガージャブなども当てやすいようです。
とにかく、相手よりもはやく、相手の目や顎などの急所を攻撃することができます。
ボクシングというよりは、フェンシングのイメージが近いでしょうか。
また、防御面では、逆の半身なので、ボクシングなどのオーソドックススタイルの相手の左のジャブやフックを防ぎやすくなります。
ジークンドーの「截」(相手の拳を裁ち切る)の所以の一つです。
ジークンドーの基礎テクニック・戦術の理論
これらが、ジークンドーの基本的な構えとそのメリットでした。
次は実際にジークンドーがいかに相手と戦うのかというところを紹介しようと思います。
ジークンドーには、基本となる六つの戦術理論があります。
SDA(Single Direct Attack)
SDA(Single Direct Attack)は、その名の通り、ボクシングのワンツーなどのコンビネーションは用いない、直線的で単発の攻撃を出すことです。
ボクシングなどの左が前で構え、正拳(伏拳・横拳)でパンチを出す、基本的なオーソドックススタイルに対して、ジークンドーは、右が前で構え、縦拳でパンチを出します。
そのときもし、お互いがほぼ同時にパンチを出し、腕同士が交差し接触してしまった場合、縦拳を使っているジークンドー側は、肘が下にある状態の前腕が相手の腕と接触します。
それによって、相手のパンチをそらしながら、自分の縦拳のパンチを相手に当てることができます。
蹴りなどでもよく、リードジャブに限りません。
SAA(Single Angle Attack)
SAA(Single Angle Attack)は、角度のある単発攻撃です。
直線的な攻撃ではない、ボクシングでいうところの、フックやアッパーなどがそれに当たります。
ABD(Attack by Drawing)
ABD(Attack by Drawing)は、相手の攻撃を誘い出し、それに対しカウンターを合わせる攻撃です。
相手の攻撃をかわす、あるいは防いでから攻撃をするのではなく、誘いを作り、それに乗って攻撃を仕掛けてきた相手にタイミングを合わせて攻撃する技です。
PIA(Progressive Indirect Attack)
PIA(Progressive Indirect Attack)は、攻撃のリズムを崩してする攻撃です。
動画内では、「ドラゴン怒りの鉄拳」での戦闘シーンを例にあげ、説明しています。
一度、相手のボディーにリードのパンチを強く打ち印象付け、もう一度同じところに攻撃するそぶりを見せ、それに反応した相手が防ごうとしたところに、顔面へのパンチを入れるというものです。
ABC(Attack by Combination)
ABC(Attack by Combination)とは、コンビネーションを用いた連続攻撃です。
SDA戦術、SAA戦術、ABD戦術、PIA戦術は、どれも単発的な攻撃でしたが、ABC戦術では、蹴りからのフィンガージャブや、場合によってはワンツーなどのコンビネーションによる攻撃を行います。
HIA(Hand Immobilization Attack)
HIA(Hand Immobilization Attack)は、トラッピングなどを使って、相手の腕を封じて行う攻撃です。
これは、どちらかというと詠春拳などに近く、ボクシングなどでは見ない技術なので、他の格闘技の人が見て真似するのは難しそうです。
実際の映像
石井東吾さんが、総合格闘家の矢地祐介選手とコラボしたときの動画です。
ほかにもコラボ動画がいくつかあるので、ぜひ見てみてください。
ジークンドーについて思うこと
ジークンドーは、攻撃の素早さや、フィンガージャブや金的などの急所を狙う攻撃が一般的には注目されている気がします。
たしかに、それらの攻撃を訓練しているのは、他の格闘技にはない優位性だと思いますが、ジークンドーの魅力はそれだけではないと思います。
もちろんすべての格闘技や武道というわけではありませんが、
他の格闘技では、組手テクニックになってしまっているところを6つの理論体系に分けているところが一番の魅力だと思います。
たしかに、他の格闘技や武道にフェイントを使ってリズムを崩して攻撃することや、誘いを作ってカウンターを合わせる攻撃もありますが、これらが体系的に指導されることは体感的に少ないように感じます。
組手やスパーリングをこなす中で、フェイントを学んだり、ワンツー以外のコンビネーションを見て真似して自分のものにはしていると思いますが、それぞれのテクニックに体系的な戦略があるところは少なく、各戦略を抽象的に6つにカテゴライズしているジークンドーは素晴らしいです。
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